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幼児教育分野における派遣隊員支援と幼児教育協力の質的向上

お茶の水女子大学文教育学部
浜野 隆

1. 事業の目的

 本課題は、幼児教育分野の派遣隊員支援を行い、それを通じて日本の幼児教育協力全体の質的向上を図ることを目的としている。平成18年度は、以下の4点を事業の目的とした:(1)協力隊活動広報体制の構築、(2)協力隊活動における困難やつまずき、効果発現要因の分析、(3)隊員の活動改善および活動の総括的評価のための評価システムの構築、(4)隊員の現地での活動促進のための教材開発。

2. 事業の実施方法・具体的な活動内容

 上記の目的を達成するため、本年度は以下の活動を行なった:(1)幼児教育関連団体への広報及び幼児教育関係者への調査、(2)隊員候補生・派遣隊員への調査および専門家チームによる回答の検討、(3)幼児教育協力評価ツールの整理、(4)幼児教育の原理に関するビデオ教材の作成。

3. 事業の成果

  1. 関連団体への広報及び幼児教育関係者への調査:全国の幼稚園(園長・教諭)を対象に広報を兼ねた調査(郵送調査)を実施した。その結果、途上国や国際協力への関心は高いこと、青年海外協力隊に幼児教育職種があることが現場ではあまり知られていないこと、隊員活動への関心・参加意欲もある程度は高いこと、現職派遣や所属先補てん制度がほとんど知られていないこと、応募(派遣)の阻害要因としては、教員自身にとっては語学力や治安への不安、園にとっては人員面での余裕のなさ、手続きの煩雑さ、などがあげられた。
  2. 派遣隊員への調査および専門家チームによる回答の検討:二本松訓練所において隊員報告書を収集するとともに、10名の隊員候補生への聞き取り調査を行った。また、帰国隊員に関しては、8名の帰国隊員に対して聞き取り調査を行い、それ以外の隊員に関しては、調査可能な59名に対し郵送調査を実施した。
  3. 幼児教育協力評価ツールの開発:国際機関で利用されている幼児教育協力評価ツールを集約した。
  4. 幼児教育の原理に関するビデオ教材の作成:隊員活動の中で日本の幼児教育について紹介しつつ、幼児教育の基本的な原理や考え方について説明できるようなビデオ教材を作成する。幼児教育の表面的なノウハウではなく、その背後にある保育の考え方について説明できるような教材を作成した。
  5. Web製作:活動を紹介するWebページを製作した。
    http://www.kodomo.ocha.ac.jp/~eccd/index.html
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