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理数科教員を中心とする青年海外協力隊現職派遣のためのバックアップシステムの開発と実施、および帰国後のネットワーク構築

広島大学大学院国際協力研究科
池田 秀雄

1. 事業の目的

 国際協力機構と連携し、現職教員派遣に関して、派遣前訓練において理数科を中心とする教員研修企画実施能力を高め、要請が多いアフリカ諸国の理数科教員研修センター等に派遣し、理数科の教科指導のみならず学校管理運営研修を実施し、その間必要に応じて短期巡回指導する。

  1. 派遣前に、任国のカリキュラム、教科指導法、学校運営管理法等の情報提供を行う。
  2. 派遣中に巡回指導を実施し、情報の共有化や個別の問題解決を図る。
  3. アフリカ諸国で進行中の技術協力プロジェクトと連携してアフリカ域内のネットワーク化を図る。
  4. 帰国後の隊員の実践的研究を支援し、交流授業を企画する。

2. 事業の実施方法・具体的な活動内容

 現職教員JOCV派遣国において現地調査を行い、隊員の要望、環境、組織、発展可能性および現地教育事務所の状況等を調べる。その結果にもとづき、バックアップシステムを構築する。

3. 事業の成果

  1. 本年度は、3名が派遣されているガーナについて現地調査を行った。

    (1) 現職教員派遣は、日本における教員経験を生かすことが出来、現地の生徒、学校、教員、一般隊員に対して好影響を与えている。ただし、語学の問題を抱えており、派遣前の一層の訓練が必要である。

    (2) 巡回指導型派遣は、各隊員の日本における教員経験が生かされ、地方教育事務所との連携によって、多数の学校に対して理数科指導を行っている。この派遣方式では、現地で並行実施されている技術協力プロジェクトとの密な連携が必要であるが、派遣前における情報提供や動機付けが不足しており、この点での改善が必要である。理数科のみに限らず、他の教科(技術、芸術)や他分野(学校保健衛生、女性教育、村落開発)を含めて組織的に巡回グループ派遣すれば効果が高いと考えられる。ただし、派遣中の現地におけるコーディネーション機能強化が必要である。

    (3) 特定校派遣は、派遣校との密な接触が図れるために派遣隊員の満足度は高いものの、ピンポイントで面的広がりは制限される。

    (4) 環境が未整備で、インターネットはやや困難。具体的な簡易教材開発方法が要望されている。
  2. ガーナでは、十分ではないにしても末端まで学校管理行政は機能している。したがって地方行政と連携したJOCVのチーム派遣による組織的支援は効果が高いと考えられる。
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