青年海外協力隊派遣現職教員のサポート
社団法人青年海外協力協会
渡邉 祐輔
1. 事業の目的
今年度は、派遣現職教員の支援体制を構築するにあたり、体育分野における教育活動上のニーズとその背景に、どのような問題が関連しているのかを調査することである。調査は、以下の3つのアプローチによって行われた。
- 青年海外協力隊隊員活動報告書の分析
- 体育・スポーツ分野の帰国隊員を対象とした質問紙調査
- 帰国派遣現職教員による事例報告
2. 事業の実施方法・具体的な活動内容
平成14年度派遣以降の派遣現職教員14名分の隊員報告書を分析し、活動内容をカテゴリー化した。その後、カテゴリー化された活動内容を参考に、評定尺度による回答が可能な項目を作成し、体育・スポーツ分野の帰国隊員279名を対象に郵送法による質問紙調査を行った。また、帰国派遣現職教員と電子メールによる活動事例報告書の提出をお願いした。その事例報告と隊員報告書の分析結果並びに質問紙調査の結果に基づき、来年度以降の支援体制の構築について検討した。
3. 事業の成果
隊員活動報告書の分析により、「教材の保有状況(任期中、現地語で指導書・教材を作成した報告などを含む)」「活動のサポート状況(隊員支援経費の使用報告、日本の勤務校等からの物品の支援の報告などを含む)」「業務上で直面している問題(語学力不足により授業が上手く進められなかったこと、職場の上司や同僚と体育に対する考え方が違ったこと、任国の人たちとの信頼関係を築くことに困難さを感じたことなどを含む)」という3つのカテゴリーによって隊員の活動内容を分類した。質問紙調査を相関分析した結果、語学に関する支援や任国の体育事情に関する情報提供を必要としていた者ほど、任国の人たちとのコミュニケーションに語学力不足を感じ、職場の上司や同僚と体育に対する考え方が違ったことに悩み、異文化の理解不足から信頼関係を築くことが困難に感じていたことが示唆された。