2-1 これからはじまる学校保健領域の国際
教育協力について
1.学校保健・国際協力の必要性
代表者の大澤は1976年の8月、東南アジア医療情報センターが行う事業である日本とタイ国との伝染病情報の交換プログラムについての会議中、保健省の
マナスビー防疫局長からこのように指摘された。「なぜきみは健康教育専門家なのに、健康教育の国際協力をしないのか、私はアジアではそれが最も重要だと
思っている」と。伝染病対策の責任ある人の突然の指摘に私は息を呑む思いがしたものである。しかし、当の日本では医療協力に健康教育・学校保健を使うべき
との声は大きくはなかった。周知のごとく従来は、保健医療分野の国際協力というと医療そのものの協力が中心であった。わが国の学校保健学会の先輩達にして
も国際協力は考えていなかったといってよい。その理由としては、専門家が少なく国内における問題に追われていること。医療協力のようには即席で効果が見え
ないこと、などもあったかも知れないが、海外援助や国際協力の窓口がする側もされる側も、保健関係の役所であるために、管轄が教育や学校には及ばないとい
うことも、理由のひとつであったろう。今までは、まれに学校保健に関係するプロジェクトがあったとしても、それらは決まって日本人医師が現地へ出かけて
いって、健康診断をして、はい終わり。というような一時的なものでしかなかった。
学校保健は国際協力における有効性にもかかわらず、従来、殆んど活用されてこなかったのである。私どもは学校保健・健康教育という観点で国際
協力することができれば、感染症についても、事故にしても、生活習慣の形成にしても、どんなにか効果的かとしばしば考えてきた。私たちのタイにおける取り
組みが始まって、4分の1世紀が経ち、やっと今年度から国が行う国際教育協力という枠組みの中で、学校保健が取り上げられようとしている。まことに慶賀の
至りである。
学校保健協力が保健所や病院を拠点とした保健医療協力に対して優位な点は次のような点である。まず、病院や保健所はごく限られた人的資源をし
か頼りにできない。私の調査地の東南アジアでは一般に保健所は村に1つ、職員は数人しか居らず、しかもカバーする地域はかなり広い範囲にわたる。彼らは毎
日が多忙でとても健康教育には手が回らないし、また教育に関しては素人である。病院や医院といっても村には無いのが普通で、医師は郡に一人、などという状
態である。つまり、施設的にも人的にもごく限られているということである。これに対して、学校保健では豊富な人的、施設的資源を利用することができる。
学校は医療施設と違って村にもたくさんある。学校の先生は医療従事者とは比較にならないくらい多い。先生はコミュニティーのなかでも信頼が厚
く、人的なチャンネルとしては見逃せない大きな影響力をもっている。しかも高学歴なので情報伝達パワーの質量は大きい。
2-2 我が国における学校保健
のこれまでの経験から
2-2-1 我が国における学校保健の沿
革
(1)明治期の学校保健と健康問題
日本の学校保健は明治5年の学制発布と共に始まった。近代学校教育制度の創始に伴って第1の課題として挙げられたのは伝染病の予防であった。当時は諸外
国との交流が急速に進展して痘瘡やコレラ等が侵入した。学校は集団生活を行うこともあって危険な媒介場所とされた。学制211条にも,小学校入学の条件と
して種痘または天然痘羅患の経験を持つことを条件としたほどである。やがて,明治12年には伝染病全般について範囲が拡大され,かつ羅患者の出席停止が盛
り込まれ,明治23年には伝染病流行時の学校閉鎖規定が設けられた。明治31年には世界に先駆けて学校医制度が成立して,全国の公立小学校には必ず学校医
を置くこととした。このことが契機となって学枚伝染病対策も一層充実を見るようになった。「学校において予防すべき伝染病」として17種類の伝染病が定め
られた。出席停止,学級閉鎖,予防方法,消毒方法についての処置が示され,その後新たな疾患を加えたり,改訂がなされたが,その骨格は今日の学校保健法に
まで存続している。
学校環境衛生対策も明治期に始まった。明治23年に小学校令が公布されたがその内容には「校地は日当り好ク且成ルヘク開豁乾爽ナルヲ要ス。校地ハ喧閙ニ
シテ授業二妨アル場所,危険ナル場所,道徳上嫌忌スヘキ場所,停滞セル池水其他凡テ悪臭アリ若クハ衛生上二害アル蒸気ヲ発生スル場所二接近スヘカラス。校
地ヲ擇フニ方り衛生上ノ利害明ナラサルトキハ医師ノ意見ヲ聞クコトヲ要ス」とあり,学校の立地条件について規定した。また教室の大きさや机や席の数(生徒
4人につき1坪以上必要とする),便所を校舎の外に設置することなど十数の注意
点を挙げたが,これらの項目を実現するには財政上の問題もあって困難が多かった。また環境評価を行う主体は明治31年に制度化された学校医であった。当時
の学校医職務規定によると,学校医は毎月1回学校へ出掛けて次の項目をチェックするべきだとされた。机や椅子なども身長に適合するように指導していた。
教室の換気の良否
採光の適否
机,椅子の適否
机と黒板の距離(特に前列及び最後列の机と黒板の距離〉
暖房器具の有無と最もそれに近い生徒との距離
教室内の温度
図書,掛け図,黒板の適否
学校清潔法の実行状況
飲料水の良否
その他の衛生上の必要項目
この職務規定は大正9年に改訂され,学校医の出校回数は月2回となった。
我が国初の身体検査は明治12年に行われた。明治11年に開設された神田の体操伝習所に招かれたアメリカ人医師リーランド,G.は健康増進を目的とした
体操を学校教育に導入した。その体操による効果を判定する目的で活力検査が繰り返して行われた。その当時の項目は,体長,体重,臀囲,胸囲,指極,力量,
握力,肺量であった。明治21年には文部省直轄学校を対象としている活力検査の成績提出が求められた。これを今日の学校定期健康珍断とその情報を基として
作製される学校保健統計調査の始めとすることが出来るが,健康珍断項目の導入は直轄学校を対象とした明治30年(公立学校は明治33年)の学生生徒身体検
査規定まで待たねばならなかった。この改訂では脊柱,体格,眼疾,聴力,耳疾患,歯牙,その他の疾病などの項目が加えられ,特に腺病,栄養不良,貧血,脚
気,肺結核,頭痛,鼻血,神経衰弱が注目された。これは明治初年より増加し続けてきた就学児に上記のような疾患が目立つようになってきたことに対応した改
訂であった。また,当時の学校保健には,学校教育の強制によって児童・生徒の健康が損なわれることに対する防止策としての一面もあった。その例として,机
や椅子に対する配慮を欠いたために学制実施後に脊柱湾曲が激増したことや近視の多発などがあったからであった。
(2)大正期,昭和初期(戦前)の学枚保健と健康問題
大正期の健康問題としてまず取り上げられたのは明治末期から大流行していたトラホーム対策と結核対策であった。学校には治療のための部屋が設けられて,
洗眼,点眼が行われて学校内で治療が実施された。また虚弱児・腺病児を結核予防の対象児と考えて林間,臨海学校や養護学校が設けられた。この対策は昭和初
期では短期的な方法から養護学級編成のような長期的な方法に移行し,昭和16年にはこれが1,600学級に上った。ここでは栄養食,肝油給用,人工太陽灯
の照射などが用いられた。
結核対策も昭和になるとツベルクリン反応,エックス線,赤血球沈降速度,細菌検査などの臨床検査が導入され,ツベルクリン反応陰性者に対しては昭和17
年からBCG接種がなされるようになった。
大正・昭和初期にかけての主要健康問題としては寄生虫,湿疹,膿痴疹,頭虱などを挙げることが出来る。当時,学校伝染病は次の4類20余種に分類されて
いた。
第1顆 コレラ,赤痢(疫痢),腸チフス,バラチフス,痘瘡,発疹チフス,獲紅熱,ジ
フテリア,ベスト,流行性脳脊髄膜炎
第2類 百日咳,麻疹,インフルエンザ,流行性耳下腺炎,風疹,水痘
第3類 開放性結核,レプラ
第4頬 トラホーム,疥癬,白癬,黄癬,膿疱疹
大正期になると,明治期には就学しなかったような疾病保有児や虚弱児も就学するようになったために,そうしたハンディキャップを持つ児童をも考慮した学
校保健が必要になった。と同時に,より積極的に健康増進を図ろうとする施策が取られるようになり,栄養の改善,身体の修練,虚弱体質の改善などが強調され
るようになった。特にこうした役割の中核に学校医が置かれた。学校医の任務としては明治31年の学校医職務規程を改訂して以下の事項が挙げられた。
@校地,建物並設備の衛生に関する事項
A校具の衛生に関する事項
B教授衛生に関する事項
C運動に関する事項
D職員生徒・児童の健康状態
E病者,虚弱者,精神薄弱者の監督養護に関する事項
F清潔に関する事項
G飲料水並飲食物に関する事項
H其の他衛生上必要なる事項
(3)昭和後期,現代の学校保健と健康問題
終戦によって我が国の衛生環境は著しく悪化し,食料不足と相まって児童・生徒の体位,体力は低下し疾病が増加した。この時代の最大の課題は栄養状態の改
善と結核,寄生虫の対策だった。昭和21年以来,一部の学校で実施されていた学校給食は昭和29年の学校給食法の成立によって全国的に広がった。激しい結
核蔓延に対しては昭和21年に10歳以上の児童・生徒に対するツベルクリン反応検査とBCG接種が行われるようになった。やがて昭和26年には結核予防法
が公布されて精密検査費用と予防接種が公費負担となり,これによって早期発見と早期治療ヶ実現した。羅患率も昭和26年以降徐々に低下していった。終戦直
後は回虫などの寄生虫卵保有率が50%を超えていたが,虫卵検査と駆除が徹底して行われたために昭和24年の63.5%(小学校)をピークにして急激に減
少した。同様に,一時期は著しかった,疥癬,頭虱,トラコーマも数年間のうちに見られなくなった。
このようにして昭和30年ごろになると学校保健の課題はおおむね解決し,児童・生徒の体位も戦前の水準にまで回復した。
やがて世情が落ち付き,衛生環境水準も回復した昭和33年になって学校保健法が成立を見た。この法律はそれまでの学校保健関係法規を統合した総合的な性
格を持つものであった。翌年,昭和34年には学校安全法が公布されて学校安全の普及が図られると共に,学校管理化の負傷,疾病,障害,死亡などに対して給
付制度が設けられた。
現代では,かつての結核,トラコーマ,伝染性皮膚疾患に変わってう歯や近視あるいは小児成人病とも呼びうる各種の成人病様の以上や先天性または遺伝性疾
患,アレルギー性疾患,日常の生活習慣を要因とした様々な不定愁訴や起立性調節障害,肥満などが学校保健上の問題となっている。
一方,昭和23年に学校保健統計調査が統計法による指定統計15号として始まって以来,現在まで毎年実施されている.しかしこの調査に含まれている項目
は戦後の学校保健問題を明らかにするために設けられた項目であるために,今日的な健康問題には必ずしも充分に対応していないという批判もあるようである。
2-2-2 年表と統計にみる我が国の学
校保健
明治期おける学校は頭虱、コレラ、チフス、トラコーマ、など児童生徒間で伝染する疾患に悩まされた。人があつまるところは伝染性疾患の温床と
なった。学校はそういう場所の一つであった。これではとても勉強どころではない。まず、伝染病を学校から追い出さなくてはならない。かくして、伝染性疾患
の撲滅が学校で展開されるようになる。伝染するのも早いが予防措置をするにも学校は効率が良かった。
最少の費用で、ごく短時間に対策を講ずることができるのも学校ならではである。学校医、学校歯科医、学校薬剤師、が養護教諭(学校看護婦)とともに各学
校
に配置され、学校保健の専門家として存在しているのも大きな意味を持っている。学校には校長以下、教頭、教諭などのマンパワーが備わっている。彼らはいず
れも高等教育を受け、一通りの健康知識はもっている。これを再教育することで保健の教師として最低限度の健康教育を行うことが出来た。それに、しっかりし
た財政基盤があるので先生の給料まで心配しなくてすむ。さらには、児童生徒を通して家庭にいる大人たちにも働きかけることが出来る。
たちまちにして、学校から伝染病を予防する方途が法的にも整備され、予防接種が開始された。やがて、急性感染症の時代から慢性の感染所すなわち結核が昭
和
になると猛威を振るった。これに対しても学校におけるツベルクリン反応テストの徹底がすべての児童生徒に対して行われた。
BCGの接種がやがてわが国から結核を激減させることに大きな貢献をなした。寄生虫に対しても、戦後の学校保健は偉大な貢献をした。全ての児
童生徒に対して検便と駆虫剤をもって処し、瞬く間に国民病たる寄生虫病を克服したのである。現在に至るまでの、これらの疾患の改善振りを統計で見てみよ
う。
図 小学生の主な疾病・異常被患率の推移
図 虫学生の主な疾病・異常被患率の推移

資料:文部省大臣官房調査室統計企画化「学校保健統計調査」
出典:「日本子ども資料年鑑 第6巻」1998
2-3 文献にみる国際学校保健
また、医療協力に携わっていた医学部や病院関係者にとっては学校保健とは健康診断や健康管理のことだ、としか理解されていなかったといえよう。しかし、学
校保健は単に健康診断や健康管理という領域に限定されるものではなく、おおむね次のような分野に広がっている。
学校保健の諸領域
1.学校保健の原理、歴史
2.学校保健の制度
3.保健教育
4.保健指導
5.保健相談
6.保健管理
7.保健組織活動
8.保健評価・統計・計画
これらは学校保健の枠組みといってよい。
これらの中身としての個別の対象領域は
a, 児童生徒の心身の発育発達
b、性教育
c,学校給食、栄養
d,教育生理
e,体力・発達教育
f,健康診断と健康管理
g,学校環境衛生
h,メンタルヘルス
i,喫煙、飲酒、薬物乱用
j,学校保健職員
k,歯科保健
l,学校安全
などが主領域である。
さらにこれらを細分化して、たとえば健康診断や健康管理を内科・小児科、眼科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、婦人科、精神科などの各科に分割することも
あるし、児童生徒に特徴的な疾患や健康異常に限定して、寄生虫病、感染症、エイズ、起立性調節障害、喘息、脊柱側弯、アレルギー、心電図異常などのように
分類することもある。これらの諸領域に関する文献は最も室の良いものは学校保健学会の機関誌である「学校保健研究」に掲載されている。
幸いなことにこれらは日本学校保健学会が50周年を今年度迎えるに当たって全て分類整理しているので、これを参照すれば学問的な立場からの学
校保健の国際協力については殆どをカバーできると思われる。ここでは、同学会が刊行した「学校保健研究索引」2003年刊より引用する。
しかし、これらの全ての情報を、これを網羅して整理することはここで行いうるものではない。そこで、国際教育協力の立場からみて有用だと考え
られるものに限定して文献を整理してみる。
一挙に掲載すると以下のようである。ここには、
学校保健研究という雑誌名
は割愛したが、全て同誌に掲載されたものである。これらの文献は年代順になっ
ている。
「国際協力に関連した学校保健の研究・報告集成」
森脇裕美子,石川哲也,川畑徹朗,田中彩美,広田進,勝野眞吾,西岡伸紀,吉本佐雅子:(報告)英国Hounslowにおける薬物乱用防止教育プログラム
の検討,44(4):338-351,2002
渡邉正樹,野津有司,荒川長巳,渡部基,市村國夫,下村義夫:(共同研究)青少年の危険行動とその関連要因に関する基礎的研究−国内外の研究動向と今後の
研究課題−,43(4):310-322,2001
戸野塚厚子:(原著)スウェーデンの小学校における「共存・共生」教育〜「障害」,「からだの違い」の教材分析を中心として〜,43(2):149-
162,2001
吉本佐雅子,鬼頭英明,石川哲也,川畑徹朗,和田清,西岡伸紀,勝野眞吾:(報告)薬物乱用防止システムに関する国際比較研究 第1報 イギリスにおける
青少年の薬物乱用の実態および総合防止対策について,43(1):50-60,2001
島内憲夫:(特集)シンポジウムT 東アジアの学校保健活動とヘルスプロモーション 42(6):480,2001
Jidi Chen:(特集)招待講演 Health Promotion Activity during Childhood in China(英
文) 41(6):487-495,2000
呉鶴,山崎喜比古,川田智恵子:(韓国の青少年における薬物使用の実態とその要因の逸脱行動論による検討 40(5):446-456,1998
林姫辰,衛藤隆:(原著)韓国における高校生のストレス反応の性差,学校差,学年差 ―ストレス反応尺度の構成とその適用― 40(5):397-
410,1998
笠井直美,大澤清二,家田重晴,國土将平,佐川哲也,カタシン・オックウン:(原著)東北タイにおける児童生徒のAIDS知識・態度の因子構造
―AIDS知識・態度に及ぼす文化的影響― 40(3):269-281,1998
黄京性,川田智恵子,山崎喜比古,吉田亨:(原著)韓国高校運動部選手のQuality of
Lifeに関する調査研究―一般生徒との比較を中心に 40(3):255-268,1998
日高三郎,山田勇二,佐久本壽代,大内紘三:(報告)東マレーシア原住民イバン族の口腔健康調査 40(2):159-167,1998
渡邊正樹,戸部秀之,後藤ひとみ,家田重晴:(論説)学校安全教育における「消費者の安全」の視点について−EC委員会が開発した「セイフティ・パック」
の理念とその内容の分析−39(1):61-70,1997
武田敏:(特集)第43回日本学校保健学会記録 シンポジウムT エイズ教育と国際保健 38(6):519-526,1997
大澤清二、李成葉、笠井直美:(原著)中国・雲南省少数民族児童生徒(タイ族、ワ族、ラフ族)の身長発育と生活環境38(4):370-380,1996
黒田正治郎、大江米次郎、勝山信房、李元暢:(原著)韓国学生におけるストレス調査,36(6):390-398,1994
軽部光男、國土将平、佐川哲也、家田重晴、大澤清二、Suthi Panichareonnam:(原著)タイ国東北地北地方における都鄙差が皮下脂肪厚
に及ぼす影響について,36(5):290-300,1994
藤田和也:(特集)アメリカ合衆国の保健教育動向,35(8):376-382,1993
大澤清二、李成葉:(報告)中国人男子における身体発育の年次推移−都市児童青少年の形態発育の早期化現象を中心として−,35(7):342-351,
1993
李成葉、大澤清二:(原著)中国農村青少年の形態発育の地域格差に及ぼす生活環境要因の解析,35(4):194,1993
佐竹隆:(随想)アメリカにおける研究生活,35(2):63-66,1993
坂井スオミ:(随想)中国辺境地区の子どもの健康を考えて,34:61-66,1993
鈴木庄亮:(特集)インドネシアの公害と教育−生活の中の子供達−,35(2):56-60,1993
梅内拓生:(特集)「国際保健学」の展開,35(2):50-55,1993
當島茂登,小林芳文:(原著)児童の身体協応性の発達に関する国際比較〜BCTによる日本と台湾の児童について〜,34(11):508-515,
1992
七木田敦,安井友康:(報告)アメリカ合衆国における障害者体育・スポーツの現状−第8回国際Adapted Physical
Activityシンポジウムに参加して−,34(10):453-459,1992
(特集)地球環境保全のための国際活動(環境白書・各論),34(7):294-295,1992
林謙治:(特集)グローバルな視点から見たサーベランス,34(4):146,1992
阿部明浩:(特集)バンコック(タイ),シンガポールを訪れて,34(1):25-26,1992
森田英嗣:(特集)ケニアにおけるJICA人口教育促進プロジェクトの現状と課題,34(1):18-24,1992
兵井伸行:(特集)東南・東アジアにおける思春期性問題とその政策について,34(1):11-17,1992
河東田博:(特集)スウェーデンにおける性教育の現状,34(1):5-10,1992
市村國夫,渡邊正樹:(特集)健康教育世界会議にみる健康教育の動向,34(1):2-4,1992
山中俊克,斎藤美麿:(特集)アイオワ州における福祉の現状―ケースワーカーによる視点―,33(12):568-572,1991
中村朋子:第14回世界健康教育会議に参加して,33(11):648-649,1991
阿部明浩:OECD国際会議(セリ)等に出席して,33(7):347-349,1991
木根渕英雄:(雑報)イギリスの児童生徒の喫煙,33(5):246,1991
木根渕英雄:(雑報)フランスでの反喫煙の新法成立,32(11):550,1990
木根渕英雄:(資料)フランス,すべてのタバコ広告を禁止,32(10):507,1990
北山敏和・勝野眞吾:(資料)成人病の第一予防を目的とした健康教育:外国の現状(1)オーストラリアのライフスタイル教育,32(9):451-
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武田敏・石橋智昭:(特集)タイの保健社会問題の一面と性教育見聞,32(9):431-435,1990
鎌田尚子:(特集)東南アジアにおけるスクールナースの役割,32(9):414-424,1990
汪玲:(特集)中国における児童青少年の身体発達について,32(9):425-430,1990
林謙治:(特集)中南米の性文化と家族計画−特に思春期に視点を当てて−,32(9):410-413,1990
阿部明浩:南米を旅して,32(3):126-128,1990
高野陽:(特集)第36回日本学校保健学会記録 特別講演T 「学校保健分野におけるWHOの制作と活動」を聞いて,32(2):60-63,1990
植田誠治:(資料)アメリカにおける学校保健(3)−学校環境衛生−,32(1):48-50,1990
佐藤祐造,伊藤章:学校保健と養護教諭−スウェーデンと日本の比較−,32(1):30-32,1990
植田誠治:(資料)アメリカにおける学校保健(2)−学校保健サービス−,31(10);480-489,1989
植田誠治:(資料)アメリカにおける学校保健(1)−保健教育−,31(9);430-436,1989
大澤清二・高橋元新:(報告)東北タイにおける教育環境研究−東北タイ学校飲料水調査より−,31(6):292-300,1989
井上和雄:(特集)インドにおける母子保健事情と医療援助,31(5);217-218,1989
小林芳文:(特集)欧米のムーブメントと教育と治療教育,31(5);212-216,1989
溝田勉:(特集)ユニセフ活動と学校保健,31(5);205-211,1989
柴若光昭:(特集)第13回世界健康教育会議印象記,31(5);202-204,1989
詫間晋平:(特集)第35回日本学校保健学会記録 シンポジウムU 「アジア・太平洋地域の学校保健の現状と課題」を終えて,31(2);65-
67,1989
Sachart Somprayoon:タイ国における学校保健教育,30(7);324-333,1988
江口篤寿:国際健康教育ユニオンと世界健康教育会議について,30(3);119,1988
佐久間充:(随想)ニュウーヘブンでの研究生活,30(3);117-118,1988
金子明美:(特集)ドイツ留学記,30(3);115-116,1988
大澤清二:東南アジア諸国との学校保健学術協力,30(3);109-114,1988
溝田勉:(特集)ユニセフ事業からみた中南米の児童福祉,30(3);104-108,1988
詫間晋平:(特集)アメリカ合衆国における学校保健研究,30(3);102-103,1988
辻忠:(報告)男女大学生の生活時間構造−平日・土曜・日曜の起床時刻ならびに就床時刻の時刻配置−,29(12):591-596,1987
松岡弘・昭英・成山公一・安梨仙:(原著)小・中学生の基本的習慣に関する日韓の比較研究,29(12):584-590,1987
玉川重徳(特集)各国のエイズ事情,29(12):556-565,1987
植松稔:(特集)カナダの「無煙空間(スモーク・フリー・スペース)」,29(10):452-455,1987
葉恭紹・葉広俊,訳林謙治:(特集)(5月号の) 中国における児童青少年衛生の発展概況について,28(7):316-320,1986
若林一美:(特集)死の学習を通しての自己確認―アメリカのカリキュラムを参考に―,28(6):263-267,1986
田中良子:(特集)ソビエトにおける子どもの生活と健康,28(5):213-219,1986
浜野建三:(特集)フランスの教育制度と子供の生活,28(5):208-212,1986
田原靖昭:(特集)アメリカ合衆国(サンタ・バーバラ)における子どもの生活と健康,28(5):202-207,1986
江口篤寿・林旭龍:(特集)台湾(中華民国)における健康教育専門家養成事情,28(4):165-168,1986
金命鎬:(特集)韓国における健康教育,28(4):162-164,1986
内海和雄:(特集)イギリスにおける健康教育―外国研究とは何か―,28(4):157-161,1986
吉原瑛:(特集)アメリカにおける健康教育,28(4):152-156,1986
詫間晋平:(特集)第32回日本学校保健学会の記録 自主シンポジウム
(1)学校保健研究の国際交流をめぐって,28(3):130-131,1986
西村洋子・酒井恒美・芳原達也・岩本晋・小林春男:(原著)オーストラリアの学生の週末,休暇における生活行動(第2報)休日生活の満足度とコーネル医学
指数,28(1):25−33,1986
西村洋子・酒井恒美・芳原達也・岩本晋・小林春男:(原著)オーストラリアの学生の週末,休暇における生活行動(第1報)休日生活の実態,27(11);
536-546,1985
近藤茂・森昭三:(原著)西ドイツにおける学校保健教育課程に関する研究−ノルトライン・ヴェストファーレンのレールプランを中心に−,27(9);
421-430,1985
松村園絵・秋田武・村松常司・森田穣・Annetta
Weber・高橋邦郎・伊藤章:(資料)喫煙の経験、習慣に影響を及ぼす諸要因の研究−第7報 日本・スイス両国青少年の比較−、25(9):443-
450,1983
John T. Fodor著,江口篤寿訳:Trends in Health Education in the
U.S.(2)(日本語要約)米国における保健活動の動向(2),25(2):76-82,1983
John T. Fodor著,江口篤寿訳:Trends in Health Education in the
U.S.(1)〔日本語要訳〕米国における保健教育の動向(1),24(12):580-585,1982
和唐正勝:(特集)アメリカの喫煙予防教育,24(12):574-577,1982
富田光一:(特集)アメリカにおける10代の母親−その背景と実態と対応について−,24(7):320-324,1982
黒田芳夫:(特集)オーストラリアの保健教育,24(5):218-221,1982
鈴木美智子:(特集)フィリピンの保健教育の動向,24(5):214-217,1982
内海和雄:(特集)イギリスの保健教育の動向,24(5):207-213,1982
向井康雄:(特集)アメリカの保健教育の実践に学ぶ,24(5):202-206,1982
内山源:(特集)最近の海外諸国の性教育の動向,23(8):357-361,1981
和唐正勝:(特集)米国における行動諸科学の進歩と保健教育への応用,23(1):2-6,1981
村島幸代・白戸三郎:(紹介)アメリカにおける学校保健の最近の状況紹介(第2報)−デンバー市教育委員会学校保健課年報
(1974/75,1975/76)より抜粋−,22(4):196-200,1980
村島幸代・白戸三郎:(紹介)アメリカにおける学校保健の最近の状況紹介(第1報)−デンバー市教育委員会学校保健課年報
(1974/75,1975/76)より抜粋−,22(3):134-139,1980
早川三野男:(論説)最近10年間の雑誌論文にみるアメリカの養護教諭の精神健康活動(その2),21(6):292-298,1979
早川三野男:(原著)最近10年間の雑誌論文にみるアメリカの養護教諭の精神健康活動(その1),21(4):195,1979
内山源:(特集)わが国の性教育発展のために諸外国における性教育をどう見るか,18:502,1976
田中恒男:(特集)学校保健の国際連 に関する考察,18:10,1976
詫間晋平:(特集)アメリカ等における健康教育の動向に関連して,18:7,1976
江口篤寿:(特集)児童生徒等の健康障害の国際比較,18:2,1976
村上賢三:衛生教育の挑戦(訳),183:,1975
船川幡夫:(報告)ヨーロッパにおける障害児教育の瞥見,16(10):496-500,1974
本田三郎:(報告)ヨーロッパの子どもの遊び場,16(7):343-350,1974
川畑愛義:(海外通信)米国フレスノ市に妊娠中絶センターを訪ねて,16(4):192-195,1974
行方令:(紹介)アメリカだより(その4),16(1):42-43,1974
行方令:(紹介)アメリカだより(その3),15:,1973
行方令:(随想)アメリカだより(その2),15(5):245-246,1973
行方令:(論説)大学院における健康教育のカリキュラムに関する問題点,15(2):61-69,1973
行方令:(随想)アメリカだより(その1),14(11):541-545,1972
田村誠:(文献紹介)ニューヨーク州の保健教育内容,14(11):532-540,1972
森昭三:(原著)比較保健教育研究序説−アメリカにおける学校保健教育研究の分析−,14(10):471-475,1972
小河弘之(文献紹介)性及び性教育に関するスウェーデンの経験,14(3):147-150,1972
詫間晋平:(報告)ヨーロッパとアメリカにおける麻薬乱用予防教育について,14(2):80-89,1972
圓山一郎:(紹介)西欧における学校保健の実態,14(1):10-15,1972
能美光房:(報告)東南アジア諸国をまわって, 13(10):476-482,1971
川畑愛義:(報告)台北・香港・マカオの旅(東方医学の故郷へ), 12(1):41-44,1970
森下はるみ:(報告)ニューギニアの保健,11(9):430-434,1969
上條芳文、陳英三:(文献紹介)中華民国台北市国民学校小学56学年度 学童健康検査研究報告(その2) ,11(8);391-393,1969
上條芳文、陳英三:(紹介)中華民国台北市国民学校小学56学年度 学童健康検査研究報告(その1),11(7);341-345,1969
陳英三:(報告)台湾師範大学衛生教育学系の紹介,11(6);290-292,1969
上條芳文:台湾における公衆衛生問題の現状,11(4);160-163・173,1969
上條芳文:台湾における学校保健の諸問題,11(1);11-14・17,1969
上條芳文:台湾の学校建築と設備,10(11);546-550,1968
詫間晋平(訳):イギリスの見たアメリカの「健康教育」−1963年英国厚生省公式視察団報告書−,10(8):393-398,1968
町田和子:(文献紹介)米国の保健教材(9)7.精神衛生の教材,9(11):529-532,1967
杉浦正輝:第5回国際学校保健学会,9(11):519-522,1967
川畑愛義:プラハ(チェコ)の国際学校保健医学大会から,9(10):463-466,1967
土屋龍雄:(文献紹介)学校保健:カリキュラム研究における概念的アプローチの評価,9(9):426-431,1967
鈴木路子(文献紹介)米国の保健教材(8)6.清潔とみだしなみ領域の教材,9(8):397-400,1967
堀内久美子:(文献紹介)米国の保健教材(7)5.公衆衛生領域の教材,9(7):329-331,1967
須田和子:(文献紹介)米国の保健教材(6)4.生理・成長・発達の教材,9(6):268-272,1967
下山朋子:(文献紹介)米国の保健教材(5)3.食品と栄養領域の教材,9(5):221-225,1967
溝田勉:飛び歩きヨーロッパの衛生事情,9(4):187-189,1967
南哲:(文献紹介)米国の保健教材(4)2.安全領域の教材,9(4):167-169,1967
行方令:(文献紹介)米国の保健教材(3)疾病予防領域 その2 歯の健康,9(3):131-135,1967
杉浦正輝:ニュージーランドにおける学童の喫煙習慣,9(3):114-121,1967
東大保健教材研究グループ、小倉学、加納孝四郎:(文献紹介)米国の保健教材(2)1.疾病
予防領域の教材,9(2):67-71,1967
東大保健教材研究グループ、小倉学:(文献紹介)米国の保健教材(1),9(1):30-38,1967
ヨーロッパのホテル・衛生・食事など―留学思いつくままU―,8(8):35-39,1966
ヨーロッパからの日本―西ドイツ留学思いつくままT―,8(4):27-34,1966
詫間晋平:(文献紹介)H.E.ヒレボー,G.W.ラリモア,E.M.スリプセヴィッチによるアメリカにおける学校健康教育の状況,7(11):12-
14,1965
山本俊一:フィリピンの公衆衛生,7(10):10-13,1965
南信子:ケニアの幼児教育,7(7):19-22,1965
大場義夫:今月の話題 赤十字平和デー(5月8日),7(5):43,1965
大場義夫:今月の話題 世界保健デー,7(4):47,1965
中島孝夫:留学雑記(アメリカ・エール大学にて),6(11):30-32,1964
能美光房:小児の歯科管理を中心に展開される国民歯科保健サービス―ユニークな国家制度を布く福祉国家ニュージーランド,6(9):11-14,1964
飯野節夫:(文献紹介)ソ連邦の保健教育−ミリマン著「小学校における保健教育」を中心として−(3),6(8):39-42,1964
角田和郎:アメリカの学校保健の歴史 −公衆衛生との関連において−,6(7):47-52,1964
飯野節夫:(文献紹介)ソ連邦の保健教育 −ミリマン著「小学校における保健教育」を中心として−(2),6(6):15-18,1964
飯野節夫:(文献紹介)ソ連邦の保健教育(1)−ミリマン著「小学校における保健教育」を中心として−,6(4):28-32,1964
岡崎康夫:WHO・UNESCO合同シンポジウム報告書 保健教育のための教員養成の概要(抄訳)(2),6(4):2-7,1964
岡崎康夫:WHO・UNESCO合同シンポジウム報告書 保健教育のための教員養成の概要(抄訳)(1),6(2):13-22,1964
岩尾泰次郎:ヨーロッパ学校保健紀行(4),5(12):16-20,1963
成田告矢:イギリスで見た学校保健,5(11):38-41,1963
岩尾泰次郎:ヨーロッパ学校保健紀行(3),5(11):21-26,1963
森昭三:アメリカの大学一般教育における保健教育とTextbook,5(10):18-20,1963
岩尾泰次郎:ヨーロッパ学校保健紀行(2),5(10):12-17,1963
岩尾泰次郎:ヨーロッパ学校保健紀行(1),5(9):14-18,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その9 完),5(9):7-10,1963
岩尾泰次郎:ヨーロッパ学校保健紀行(2),5(10):12-17,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その8),5:(8),27-32,1963
村江通之:私の見た諸外国の学校保健,5(8):20-27,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その7),5(7):12-17,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その6),5(6):23-28,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その5),5(5):8-12,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その4),5(4):9-12,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その3),5(3):16-18,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その2),5(2):3-6,1963
詫間晋平:日本の印象,5(1):49-52,1963
李叔佩:第9回日本学校保健学会総会 特別講演 中華民国台湾省における学校保健の動向について,5(1):26-31,1963
富士貞吉:世界保健機関10年の歩み(その1),5(1):2-6,1963
久松一恵:(文献紹介)学校保健問題への解答−アストリア地区における実証的研究,4(11):38-42,1962
「学校保健研究」投稿規程,4(11):23,1962
森昭三:アメリカにおける保健教師養成について,4(11):19-23,1962
C.E.turner:UNESCO-WHO 学校における保健教育の計画W,4(11):1-18,1962
C.E.turner:UNESCO-WHO 学校における保健教育の計画V,4(10):1-21,1962
C.E.turner:UNESCO-WHO 学校における保健教育の計画U,4(9):1-17,1962
C.E.turner:UNESCO-WHO 学校における保健教育の計画T,4(8):1-18,1962
C.E.ターナー博士を迎えて行なわれた学校保健に関する懇談会の記録,4(7):,1962
詫間晋平:ターナー先生についての片鱗,4(6):27-29,1962
木村正文:各国の年令別体位の長期的観察,4(6):1-8,1962
高橋英次:イギリスの学校保健と公衆衛生,4(4):47-51,1962
詫間晋平:アメリカの中西部に旅して,4(1):45-48,1962
藤田禄太郎:(文献紹介)精神衛生における家庭の役割について S.I アブラハム,3(12):46-48,1961
加納孝四郎:(文献紹介)“十代の関心事”Teenage Concerns “The journal of School Health”
1961年4月号,3(10):35-36・48,1961
レスリー.W.アーウイン:(文献紹介)中等学校保健教授課程に必要とされる研究領域について,3(9):31-35,1961
詫間晋平:(海外だより)ロッキー山脈の麓に旅して,3(6):45-48,1961
(海外通信)日本,ユネスコ総会に提案,3(5):48,1961
詫間晋平:(海外だより)アメリカの東部に旅して,3(3):37-40,1961
詫間晋平:(海外だより)二つの学会に出席して,3(2):38-42,1961
藤田禄太郎:(文献紹介)アメリカの安全教育の教材,3(1):34-36,1961
林森:中国台湾の学校保健,3(1):21-24,1961
久松一恵:(文献紹介)The Journal of School Health
1960年4月号 「学校保健教育の研究委員会の報告」より,2(9):29-30,1960
詫間晋平:(海外だより)アメリカの印象,2(8):14-15,1960
藤田禄太郎:(文献紹介)エルザ・シュナイダー 子どもの健康に対する教師の役割,2(7):38-40,1960
宮坂忠夫:動向 衛生教育の国際的機関の動きについて,2(5):38-40,1960
武田真太郎:(文献紹介)災害予防の2論文,2(4):36-37,1960
久松一恵:(文献紹介)健康教育(英国文部省パンフレット31号)−Health Education−Ministry of Education
Pamphlet 31,2(3):38-40,1960
伊藤章:(文献紹介)弱視児に対する教育問題 Dorothy Bryan:
A.J.P.H,49,766~770,1959.,2(3):36-37,1960
詫間晋平:(文献紹介)WHOとUNESCOが共同して作った「健康教育のための教員養成に関する研究指針」について,”A Study Guide
on Teacher Preparation for Health Education”, Prepared Jointly WHO and
UNESCO. ,2(2):45-48,1960
パチラ・サベタチンダ:タイの学校保健,2(2):14,1960
小倉学:(文献紹介)小学校における保健−学級担任教師の役割− Health in the Elementary School The Role
of the Classroom Teacher by Herbert Walker,2(1):47-48,1960
藤田禄太郎:(綜説)アメリカにおける健康教育の歩み,2(1):5-12,1960
星野命:精神衛生 米国における精神衛生の動向(2)−学校教育について−,1(2):36-37,1959
星野命:精神衛生 米国における精神衛生の動向,1(1):29-31,1959
これらを通覧すると大部分が先進諸国に関連した文献である。これらの内か
ら特に
アジア、オセアニア、アフリカに関するものを選ぶとかなり少数になる。これらをさらにここに掲げておく。
2-4 特に東南アジア・アフリカ・オセアニ
アに関連する我が国の研究文献から
学校保健研究に掲載されたアジア・オセアニア・アフリカに関する研究報告は合計で53編である。(分類の仕方によっては多少の異動があろう。)
これらのうち地域別には中国、韓国、台湾など東アジアが26編、東南アジアが17編、この両方にまたがったものが1編である。一方、オセアニ
アは7編、アフリカはケニアに関するもので2編である。
さらに、「原著論文」、「報告」、「特集・資料・その他」と3分割して数えた。ここで「報告」としたものは、独自のデータを収録し、なんらかの論評を加
え
たもので、単なる旅行記・紹介記事は含めてない。かつては紹介記事を「報告」としていたがこれはその他と分類した。現在の分類法を過去の論文にも適用した
訳である。すると、「原著」が13編、「報告」が4編、「特集・資料・その他」36編であった。著者の所属、研究分野、年齢、性、方法などによって分類す
ることもできるが対象が少なく、それゆえ意義も乏しいので割愛した。
論文の中には、印象としては若い研究者のものが多く、女性の著者が比較的多く7編、留学生の手になるものも4編ある。
旅行記や会議の印象記は当然だがお年を召した方々に多く、海外の学校保健の紹介も散見される。ただ、評者には、当該国の一般的な紹介記事には学術的な価
値
は認めにくいという印象がある。というのも、この種の解説はいずれの国でも表向きの情報が提供されるのが普通であり、実態は途上国の場合にはかなり異なっ
ているのは、専門家にとってはむしろ常識だからである。啓蒙的な雑誌ならばともかく、学術雑誌ならばこの種の記事はむしろ避けてもよかろう。
海外にデータを求めた研究が少ないとは予想していたが、結果はやはり多いとはいえない。致し方ないといえようか。量的にも少ないので、原著と
報告を枚挙しておく。
中国に関する研究:
中国に資料を求めた論文は7)10)11)17)
である。何れも北京大学の季と大妻女子大学の大澤によるものである。これらの論文に共
通しているのは、中国で長年蓄積された膨大な発育データを生態学的な視点から多変量解析的に分析して、中国人児童生徒の健康像と気候、生業、生活環境、栄
養が時代とともにどのように相関的に変容してきたかを解明しようとしてきたことにある。中国人類学雑誌にも成長に関する論文が見られるが、
American Journal of Human Biology に関連論文が多く掲載されている
韓国に関する研究:
これらの論文は1)2)5)8)14)であり、学
会奨励賞を受けた林2)がある。
台湾に関する研究:
12)は日本人と台湾人の身体の協応性について比
較したものである。小林は長年この問題に取り組んでいたが、これを拡大して台湾人と比
較したものである。小林は台湾に関する優れた紹介論文を1960年代の学校保健研究に数多く掲載している。留学生陳氏の論文も懐かしい。特に台湾とは国際
交流協定を本学会は結んでいるのであるから、もっと多くの研究が掲載されても良かろう。
東南アジアに関する研究:
3)4)6)9)13)のうち6)はイバン
族の口腔に関する健診データを紹介したものである。3)4)は北タイ、東北タイにおけ
るフィールド調査の結果を元にエイズがしょうけつする同地で児童生徒がどのようにエイズ教育を受け、またこれを知識として獲得しているか、をタイ語文献と
2000名のアンケート調査から明らかにしている。9)はタイのウボン県において都市と農村の児童生徒の栄養状態にいかに大きな格差があるかを計測データ
によって明らかにしている。13)は9)と同じくタイの各地の学校の飲料水を分析して高度が非常に高い点を指摘している。cl、K,mgなどはWHOの基
準を超えている。これらの研究は同じフィールドで同じ研究グループが20年あまり取り組んできた研究成果の一部である。
オセアニアに関する研究は15)16)である。
このように学校保健の研究においては未だ他の教育学や社会科学のようには海外調査が広がっておらず、従って殆ど国内の現象にのみ視点が限られ
て研究され、議論されていると言うことを再認識した。児童生徒の健康現象は広く諸民族。諸外国との比較において相対化して初めて一国のありようが理解され
るわけであり、一国に限定して議論が行われることはむしろグローバル化した学問の世界では危険である。
研究・報告一覧
1)呉鶴,山崎喜比古,川田智恵子:(韓国の青少年における薬物使用の実態とその要因の逸脱行動論による検討 40(5):446-456,1998
2)林姫辰,衛藤隆:(原著)韓国における高校生のストレス反応の性差,学校差,学年差 ―ストレス反応尺度の構成とその適用― 40(5):397-
410,1998
3)笠井直美,大澤清二,家田重晴,國土将平,佐川哲也,カタシン・オックウン:(原著)東北タイにおける児童生徒のAIDS知識・態度の因子構造
―AIDS知識・態度に及ぼす文化的影響― 40(3):269-281,1998
4)笠井直美、大澤清二:(報告)タイにおける学校保健カリキュラムとAIDS教育の構成に関する研究 41(2)138-152,1999
5)黄京性,川田智恵子,山崎喜比古,吉田亨:(原著)韓国高校運動部選手のQuality of
Lifeに関する調査研究―一般生徒との比較を中心に 40(3):255-268,1998
6)日高三郎,山田勇二,佐久本壽代,大内紘三:(報告)東マレーシア原住民イバン族の口腔健康調査 40(2):159-167,1998
7)大澤清二、季成葉、笠井直美:(原著)中国・雲南省少数民族児童生徒(タイ族、ワ族、ラフ族)の身長発育と生活環境38(4):370-380,
1996
8)黒田正治郎、大江米次郎、勝山信房、李元暢:(原著)韓国学生におけるストレス調査,36(6):390-398,1994
9)軽部光男、國土将平、佐川哲也、家田重晴、大澤清二、Suthi Panichareonnam:(原著)タイ国東北地北地方における都鄙差が皮下脂
肪厚に及ぼす影響について,36(5):290-300,1994
10)大澤清二、季成葉:(報告)中国人男子における身体発育の年次推移−都市児童青少年の形態発育の早期化現象を中心として−,35(7):342-
351,1993
11)季成葉、大澤清二:(原著)中国農村青少年の形態発育の地域格差に及ぼす生活環境要因の解析,35(4):194,1993
12)當島茂登,小林芳文:(原著)児童の身体協応性の発達に関する国際比較〜BCTによる日本と台湾の児童について〜,34(11):508-515,
1992
13)大澤清二・高橋元新:(報告)東北タイにおける教育環境研究−東北タイ学校飲料水調査より−,31(6):292-300,1989
14)松岡弘・?昭英・成山公一・安梨仙:(原著)小・中学生の基本的習慣に関する日韓の比較研究,29(12):584-590,1987
15)西村洋子・酒井恒美・芳原達也・岩本晋・小林春男:(原著)オーストラリアの学生の週末,休暇における生活行動(第2報)休日生活の満足度とコーネ
ル医学指数,28(1):25−33,1986
16)西村洋子・酒井恒美・芳原達也・岩本晋・小林春男:(原著)オーストラリアの学生の週末,休暇における生活行動(第1報)休日生活の実態,27
(11);536-546,1985
17)Ohsawa,Seiji and Chen Ye Ji:Ecological Coorelations and
Anthropometric Variations in Chinese Youths 37(4)318-328,1995
2-5 東南アジアにおける学校保健関連情報
の蓄積から
我が国における東南アジアの学校保健分野における研究・報告(統計編)
この分野は東南アジア保健統計研究会(代表、大澤清二)が1983年よりタイにおいて継続的にフィールド調査を行いその成果を別添(CD-ROM)の資
料
のように報告している。これらのデータはタイにおける児童生徒の健康状態と発育、栄養、生活習慣、運動能力、体力の諸分野にわたって広汎なデータを収録し
てある。
CD-ROM の名称は以下のようである。
- SHS-DB no.1 SEAMIC Health Statistics,1980-2000,International
medical
Foundation of Japan, South East Asian Medical Information Center,2003
- Recent Trends in Health Statistics,1974-2000,ed.by Seiji Ohsawa,
International medical Foundation of Japan, South East Asian Medical
Information Center,2003
- Health
Status of Modern Thai Children, ed. By Seiji Ohsawa,
東南アジア保健統計研究会刊
これらのデータは膨大な量であり一挙に参照するには不便であるので、幾つかの小さなファイルとして収録してある。筑波大学の電子アーカイブ事業の一環とし
てを
http://archive.criced.tsukuba.ac.jp/参
照していただきたい。
2-6 タイに見る学校保健教育の有効性
SEAMIC Health Statistics 2002
ご存知のようにタイはHIV/エイズの流行地として知られている。HIV/エイズは
1984年以来少しずつ感染者/患者が増加しており、政府の公式統計でも2002年には累積で67万人が届けられている。アメリカのジョンズホプキンス大
学のジェオフリー博士によれば2014年までに累積で約100万人の感染者が現れ、そしてこれらのほぼ全員が同年までに死亡すると予測されている。私の
フィールド調査地でもある、北タイにおいては40万人が死亡するとされている。その社会的な影響は医療のみならず、極めて大きい。しかし未だにワクチンや
特効薬はなく、比喩的にではあるが、教育こそがワクチンであるなどと言われている(ただしワクチンのように効果があればの話であるが)。つまり、病気に
なってしまったら、決定的な治療法がないので、病気にならないようにしようということである。
このこと、つまり予防教育と言うのは、エイズに限ったことではなくて実際に治療できる病気でもいえることである。健康教育と言っても良いし、それを学校
で
行うなら学校保健教育といっても良い。
感染流行の現実に対して、タイ政府は1980年代より保健省を中心として、莫大な予算と夥しい専門家を投下してコンドームを配布し、パンフレット、ポス
ター、テレビ放映、看板、などありとあらゆる教育的な対策を講じてきた。
全国にはりめぐらされた何千という保健所の全てでコンドームが無料で配布されており、いたるところでコンドームのキャンペーンが実施された。私自身も保
健
所でサインをして3個一連のコンドームを頂いたことがある。ところが、不思議なことに保健省の正式な統計によっても1990年代半ばにはコンドーム使用率
は殆ど0%から0.5%に満たなかった。表1の統計を毎年編集しながら,筆者は東南アジアで最も低率のタイのコンドーム使用率に落胆を感じていた。もの凄
い努力にもかかわらず、何年たっても使用率1%以下というのである。しかもそのデータは運動を展開している保健省が公表しているのだから、数字をわざと低
く報告すると言うことはない。統計的には、全くキャンペーン効果のない状態が続いていたのである。公衆衛生行政において、極めて熱心なコンドームキャン
ペーンが全国で展開されて10年を経過しても、こうした状態が続いていたことに対して、私は健康教育の効果に諦めを感じ始めていた。
あれ程のお金、人、時間、をかけて首相自身が先頭に立って国民運動をしても、健康教育は無力なのか。それはなぜなのか。
私はこの問題を解くべく、最もエイズのしょうけつしている北タイでフィールド調査を行った。「エイズ教育と伝統的価値体系」健学社刊、2000年、にこ
の
成果は記述してあるが、その結果、民衆の殆どはエイズを認識しており、またコンドームが有効であることも知っていた。にもかかわらず、インタビューした全
ての成人はコンドームを使用していなかったのである。理由はそれぞれであるが、民衆は「使用する必然性を理解していない」ということであった。「自分自身
の問題として想像力をもってエイズを理解していないのである。」と同時にこの数字は保健所の教育方法では大きな限界があるということを示唆していた。
ちなみに、保健所の教育は単なる刷り込みに過ぎなく、またコンドームの強制であった。住民自身が自分の問題としてエイズを理解する立場に無かったようで
あ
る。いはば、きちんと事態を分からなくてもいいから「コンドームをつけなさい」という行動だけを求めるやりかた(これは近年世界中で流行している知識軽視
の方法である)の限界を示しているようである。
一方、中高生を対象としたエイズ/性教育は遅ればせながらタイでは正式には1992年に始まった。(いささか手遅れ気味というべきであるが)。さらにそ
れ
が軌道に乗るのはそれから数年かかった。もちろん正課の授業の中で行うということは教材、教具、教師のトレーニング、カリキュラムなどが用意されねばなら
ないから、時間がかかる。とはいえ、既にエイズの流行は全国に広がり、売春婦から客に、そして家庭にまで拡散していた。それまでにも臨時的には学校でエイ
ズ教育は散発的には行われていたが、きちんと正課として行われることになって初めて、北タイでもすべての学校で行われるようになった。やっとエイズの病
理、感染経路、症状と経過、治療、そして予防としてのコンドームの使用、がきちんと教えられるようになったのである。
それまでの保健所の指導は「コンドームを使おう」という強引な押し付けであるのに対して、学校のそれは知識、態度、行動を順序だてて教えるものであった
と
いえよう。これらの教育を受けた子供たちがようやく結婚、出産する年齢層に達するのは10年の時間が必要であった。当時12歳だった子供はやっと2000
年で20歳を迎えている。つまり、生殖年齢に達し、家族計画や性交についての調査対象になって来たのである。すると、表1に見るように1999年の統計で
は0.9%であったのが、2000年には3.6%、2001年には7.0%に一気に上昇してきたのである。残念ながら、年齢別の使用率が不明なのでこれ以
上は分からないが、この急激な上昇をどう解釈すべきだろうか。今までに成人し、調査対象となっていた30台や40台の人々の間に急激にコンドームが普及し
始めた、と考えるのは余りにも不自然である。そうなら、1980年代にこうした現象が起こっているはずであろう。そこで、どう考えても新しく成人となり調
査対象となりつつある若い層のコンドーム使用率が全体の数字を押し上げていると考えざるを得ないのである。このままだと、2002年以降の数字はおそらく
10%からさらに15%と上昇していくと予想できる。
これらの統計とフィールドからの所見から、私は保健所がそして多くのNGOが躍起になって展開してきたコンドームキャンペーンはその投じた費用と労にも
か
かわらず、売春婦層などにおける効果を除いては、殆ど報われなかったのではないかと考えている。それに対して、学校で行われた性教育は数字に見るように、
時間はかかるが効果は確実であるということである。
「学校における健康教育は地域でおこなうそれより明らかに有効である。」というのが私の感想であるが、これを国際社会が認めだしていると感じている。
このように、これまで保健所を中心にして行ってきたコンドームの指導は不振を極めていた。10年間の懸命の努力にもかかわらず、コンドームの使用率はほ
とんど0%だったのである。ところが、学校保健におけるエイズ教育の導入によって近年覚しい改善が起こりつつあるのである。
学校保健の国際協力はいま、始まったばかりであるが、大きな成果が期待できる。
2-7 どのような国際教育協力をなしうるか
(1)
国は平成15年度より学校保健領域の国際教育協力事業を開始するべくその準備に入った。この事業は国際教育協力を進めるにあったって、これまで個々の大
学
や研究機関の個々の研究者。専門家がそれぞれの専門分野でばらばらに行っていた国際協力を出来るだけ効率よく一本化して情報、ノウハウを共通のものとして
共有していこうというものである。協力の分野はいまのところ、数学教育、理科教育、障害児教育(いずれも筑波大学)、環境教育(東京学芸大学、宮城教育大
学)、家庭科教育(日本女子大学)、幼児教育(お茶の水女子大学)、そして学校保健(大妻女子大学)の諸分野である。これらの分野はそれぞれに括弧内の大
学が拠点校となっている。今のところ学校保健分野ではこれからどんな協力事業をするべきかの戦略を検討している段階である。初年度の15年度は学校保健関
係者2500名を対象として国際教育協力に対する情報収集・登録を行った。情報収集はアンケートによるものと、インタビューによるものであるがここではア
ンケートの結果を紹介したい。
●人材の開発について〜アンケート調査から(登録)
ここでは、上記事業(拠点事業)に関する、国際協力に関するアンケートの集計結果を紹介しよう。(資料:
アンケート用紙FAX用)
@調査の目的
ここでは、次のような問題意識から出発している。まず国際教育協力の戦略を立てるのに際して 次の要素を考えることからはじめた。国際教育協力をするに
当
たって、
a どんな国や地域に(対象国など)
b どんな専門家が(専門家)
c どんな国際教育協力の内容で(内容)
d いつからいつまで(時期)
e どのような手順で(協力の段階)
f お金はいくらかかるのか(費用)
g
今までの学校保健分野における日本における具体的な経験のうちで現実に国際教育協力を行う場合の効率的な分野はどのようなものが考えられるかである。(日
本の経験)
h 最後に、協力そのものの成果の評価をどのようにするか(評価)
A調査方法
このアンケートはまず人材に関する調査を考え、人材を手掛かりとして上記の諸点を明らかにしようとした。つまり、上記のaからhまでの8点について情報
を
収集し、検討するのに当たって、まずは「はじめに人ありき」、の立場から国際教育協力の戦略を立てようとの考え方である。
これらの諸点について専門家2500名に対して全国調査を行った。このような調査は従来行ったことがないので、まずは、専門家集団として、学会や団体な
ど
に属している専門家をもって調査対象とした。
対象者は北海道から沖縄までに広がっている。
職種は、大学、高校、中学、小学校、養護学校、専門学校、研究機関、行政機関などに属している。
カバーした分野は、学校保健、体育、医療、福祉、公衆衛生などである。
特に項目の選定に当たって次の点を重点的に考慮した。
1)どんな専門家(専攻分野)がどれくらいいるのか?それらの専門家のうちで今までに
国際教育協力に関係した人はどれくらいいるのか、
2)これから関係しようという関心を持っている人はどれくらいいるのか。
B調査結果から
結果は次のようであった。
1)2500名に郵送した調査票のうちで 平成15年2月20日現在の登録者数は233名である。回答率は9.36%であった。これは事務局の当初の予想
である5%を上回っており、非常に多くの方に協力をいただいたと感じている。今までこのような人材集団が学校保健の中に潜在しているとは予想もしていな
かったのである。
2)年齢分布(登録者の年代構成)をみると、
登録者の構成について以下に示していく。
図1は登録者の年齢構成である。50代の方が33.3%を占めており、ついで40代の23.5%、30代の19.2%、60代の13.2%、
20代の6.4%、70代の3.8%、80代の0.4%となっている。働き盛りの50代、40代の働き盛りの方が過半数を占めているが、
図1 登録者の年齢構成
60代、70代の大教授クラスの方も少なくない。失礼ながら、日本の年配者はお元気で
あ
る。今後はシルバーボランティアとして協力していただける先輩や権
威者がこんなにたくさんいるとは嬉しい限りである。お名前を上げれば「えーっ」と驚くような大先生が協力を申し出てくれている。中には学会長経験者、団体
の役職者、学長、学部長、学校保健学会の役員など、高名な方々が少なくない。もちろん、青年から壮年にかけての有望な専門家も少なくない。現職の大学教授
も沢山登録してくれている。
すべての年齢層にわたって満遍なく登録の人材がいるということは、様々なニーズに応えられる可能性を示しているともいえよう。
3)結果を性別に見よう。
図2は登録者の性別構成である。男性が52.1%でわずかに多いが、ほぼ同数になっている。このことは、実際に協力事業を行う上で大きな長所になるはずで
ある。なぜならば、学校保健という分野は、その性格上一方の性に偏っていないほうが好ましいからである。
4)図3は登録していただいた専門分野、すなわちそれぞれの専門家が学校保健の中で協力可能とする分野である。回答は複数回答を可としている。
最も多いのは「保健指導」で57名、第2位は「健康管理」で51名、第3位は「保健教育」で44名、第4位は「保健組織活動」で39名、第5位は「性教
育・指導」で36名である。以下、「喫煙・飲酒・薬物乱用防止指導」、「学校保健統計・評価」、「学校保健要員の養成」、「学校安全教育・指導」、「学校
環境衛生」「学校給食・栄養指導」である。
これによると、はっきりと学校保健らしい項目が上位を占めており、学校保健のプロパーの方々が、本事業に大きな関心を向けていることが明らかとなった。
図3 登録者の専門分野
5)図4は海外活動経験のある方の、その海外活動の内訳である。海外活動の経験者は全体の33.5%であった。内訳は「学会」などの短期の海外活動経験
者が4名、また「留学経験者であって今後は海外協力を希望する」という方が6名、「海外調査活動経験者」は最も多く41名である。そして最後に「海外にお
ける学校保健関係の協力経験」というかなり限定した範囲では数人の登録者しかいないのではないかとも想像していたが、結果としては、31名もの専門家が既
に海外で活躍されていた。
この中にはコロンビア、マレイシア、タイ、ラオス、ネパール、フランス、タンザニア、メキシコなどが含まれている。まさにこれらの方々は即戦力である。
図4 登録者の海外活動経験内容
6)使用可能な言語として登録していただいた言語は「英語」が80名で最も多い、続いて「タイ語」の7名、「中国語」4名、「ドイツ語」3名、「スペイ
ン語」3名、「フランス語」2名、「ラオ語」2名、その他3名であった。
2-8 どのような国際教育協力をなしうるか
(2)
分野1 保健教育
分野1.1:カリ
キュラム開発
専門家インタビュー
学校による子どもの人格形成設計、
あるいは子どもの人格と学力の統一的発達のプログラムをカリキュラムという。
カリキュラムは教科と教科外活動の2領域を基本として構成されている。
学校保健教育は、教科としての保健学習と教科外で行われる保健指導から成っている。
学校保健教育では、
地域や学校の実態及び児童生徒の心身の発達段階や特性等を
充分考慮した適切なカリキュラムを開発することが望まれる。
分野
1.2:教材・教具開発
教材は、学習内容を習得するために、
目的にかなった学習が生起するように意図的に工夫された教授手段である。
一方教具は、教材の提示を可能にし、学習者に教材の把握を可能にする物質的な教授手段をいう。
教材は、言語的、映像的、操作的、運動的なさまざまな形態をもっており、
学習者に同一の学習内容を教授するのに、複数の教材をつくることが可能である。
よい教材とは、分かりやすさを基準に判定される。
より深い理解ができる教材の開発は重要な課題であるが、
実際の授業での効果の確認が不可欠となる。
分野1.3:性・エイズ
教育
性教育は、青少年の心身の発育発達の程度や関心に応じて、
性に関する知識の教授および道徳的態度と行動を育成するものである。
エイズ感染の主たる要因は性的な接触であるので、
エイズ教育と性教育には密接な関連が存在している。
エイズ感染の予防としては、病理の理解に並行して、
免役機構、性感染症、社会的背景、薬害問題、
人権などエイズ感染予防に関わる様々な内容が含まれなければならない。
特に学校では多くの機会を持つことが期待される。
分野1.4:学校安全教育
交通事故、水の事故、労働災害、家庭事故、レジャー事故などの事故の防止は、
国の重要な課題の一つと考えられる。
そのためには、安全管理の充実だけでなく、
安全教育を通して人々が安全確保の知識や技術を身に付けるとともに、
安全重視の考え方を持つようにすることが極めて大切である。
学校における安全教育は、学習指導要領、
総則第3「体育・健康」の方針に基づいて、
学校における教育活動全体を通じて行われる。
その中で、安全学習(教科としての安全教育)は、
体育科、保健体育科等の教科で、安全指導(教科外での安全教育)は、
学校行事や学級活動などの「特別活動」や「総合的な学習の時間」で、
各々、計画的・組織的に行われる。
なお、学校安全教育には、学校安全、生活安全、交通安全などの領域があるが、
現行の学習指導要領では、
安全学習における生活安全(家庭や地域の事故防止)の扱いが少ないので、
これらの項目については、安全指導で補う必要があろう。
分野1.5:喫煙・飲酒・薬物乱用防止教育
喫煙・飲酒・薬物乱用が健康阻害の重要な問題であることは言を待たない。
とくに児童・生徒においては喫煙が入り口となり飲酒・薬物乱用へ
結びついて行く可能性が指摘されている。
子どもの喫煙開始の動機は「好奇心」とか「なんとなく」であると言われているが、
タバコは短期間に依存性を形成するとされており、
喫煙を始めさせないことが重要である。
この問題は小・中・高等学校における学習指導要領にも盛り込まれ、
「体育」「保健体育」「保健」の教科のなかで教育される事項とされている。
分野2 保健指導
分野2.1
学校給食・栄養指導
学校給食は成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のために、
バランスのとれた栄養豊かな食事を提供することによって、
健康の増進、体位の向上、正しい食事の在り方や望ましい食習慣を身に付け、
好ましい人間関係を育てるなど、多様で豊かな教育的なねらいをもっている。
栄養教育とは、生涯にわたって健康で生き生きとした生活を送ることを目指し、
正しい食事の在り方や望ましい食習慣を身に付け、
食事を通じて自らの健康管理ができるようにすることである。
分野2.2 性・エイズ指導
学校保健教育は、教科としての保健学習と教科外で行われる保健指導から成っているため、性・エイズ指導には、教科外の保健指導としての役割が大きい。
エイズ感染の予防として保健指導では、個人または集団を対象にし、
ガイダンスやカウンセリング等の方法をとりながら、
知識の普及、適切な態度と行動の育成を行うことが可能になる。
特に学校では多くの機会を持つことが期待される。
分野
2.3 学校安全指導
安全指導は、学級活動や学校行事などの「特別活動」や
「総合的な学習の時間」などに行われる安全教育である。
安全指導においては、安全教育と連携して、
事故防止・安全確保のための技術の習得を目指すことが大切である。
具体的な課題は、以下のようなものと考えられる。
- 重大事故や頻度の多い事故の類型や事故の多い場所を調べる。
- 事例をもとに事故原因を分析する。
- 物や環境の要因について潜在危険を発見する練習を行う。
- 安全行動の手順を確認する。
- 安全行動をいつも実施するために必要な技術を身につける。
- 自分の心身状態をチェックする方法を見つけ、それを実行する。
- 自己の行動をコントロールするための技法に習熟する。
分
野2.4 喫煙・飲酒・薬物乱用防止指導
喫煙・飲酒・薬物乱用防止の意義は保健教育の項でも述べたが、
この様な体育・健康に関わる指導は教科のみならず学校に於ける教育活動全体を通じて
適切に行うものとするとされている。
体育に関する指導を体育・健康に関する指導と改めたのは健康に対する現代的課題に
対応する必要からである。
この問題は教科における教育をこえ健康・安全で活力のある生活を営むに
必要な資質や習慣を育て実践に役立つことを目指しており、
体育科の時間のみならず関連の他教科、特別活動、総合的な学習の時間などで充実が
図られるべきとされている。
分野2.5 体力つくり
発育期のおける体格発育,体力・運動能力およびスポーツ技能の発達は,
教育および学校保健の基本的課題である。
病気に対する免疫力を高め,
肥満などの生活習慣病を予防し,
生涯にわたる健康の維持増進のために,
児童生徒の体力の発達を推進する保健指導システムを構築する。
体力は健康関連体力と技能関連体力に区別される。
分野2.6
生活習慣の改善
病気に対する免疫力を高め,肥満などの生活習慣病を予防し,
健全な心身の発育発達を促すことは必要不可欠である.
そのために,HQC(Health Quality Control)手法を適用して児童生徒の基本的生活習慣を改善し,
健康生活習慣の主体的管理技能を発達させる保健指導システムを構築することを目的とする.
基本的生活習慣は健康の三原則である運動,
食事,睡眠・休養と学習,遊びなどに関する生活行動の内容と生活時間である.
分
野3:保健管理
分
野3.1:学校環境衛生
学校における児童生徒の疾病や障害の防止、安全の確保、
健康の保持増進ならびに学習環境を整備するために、
学校の衛生状態や、環境を管理改善する。
学校全体の環境としては、清潔な飲料水やトイレの施設を設置や管理運営、
ゴミ、廃棄物の収集処分、保健室の管理運営、危険箇所のチェック、修繕などがある。
教室環境としては、教室内の照度や黒板の色彩、換気、体の大きさに適合した机や椅子の整備、
教室の清潔などがある。
分
野3.2:健康診断
健康診断は1958年に制定された学校保健法第1条で
「学校に於ける保健管理及び安全管理に関し必要な事項を定め、
児童・生徒・学生及び幼児並びに職員の健康の保持増進を図り、
もって学校教育の円滑なじっしをとその成果の確保に資することを目標とする」
とした目的に従って規定されている。
就学時の健康診断、児童・生徒・学生及び幼児の健康診断、
職員の健康診断があり検査項目、検査方法には規定が設けられている。
また、これは学校における保健管理の中心的事業である。
分野4:保健組織活動
分野4.1:学校保健関係職員の養成
学校に於ける体育健康に関する指導が教育活動全体を通じて
行われるとされていることから、
学校保健活動は全ての教職員の協力体制を前提に考えられる必要があろう。
ただ、学校保健関係職員という場合はとくに関係の深い保健主事、
養護教諭、学校三師(学校医、学校歯科医、学校薬剤師)を指す。
保健主事は一般教員のなかから選出されるが学校保健委員会の運営や学校保健計画の策定、
推進など重要な役割を担っている。
養護教諭は「児童の養護をつかさどる」とされるが役割は広く、大きい。
4年制大学、1年の特別別科などで養成されるが変貌する子どもの健康問題への対応は
問題も少なくない。学校三師については、
医師、歯科医師、薬剤師とそれぞれの養成機関で養成される。
分野
4.2:学校保健委員会
学校保健組織には、学校保健委員会、教職員保健組織、児童・生徒保健委員会、
及びPTA保健委員会などがあるが、学校保健委員会は、一番の基本となる組織である。
また、主目的は、学校保健安全計画を立案し、その円滑な実施を推進することである。
構成員は次のとおり。
- 校長、教頭、保健主事、養護教諭、関係主任(体育主任、安全主任、給食主任)、
保健教科担当教員、学校栄養職員、その他
- 学校医、学校歯科医、学校薬剤師
- PTA代表、PTA保健委員
- 保健所代表、福祉関係機関代表、その他の地域組織代表
- 児童・生徒会代表、児童・生徒保健委員会代表
分野
4.3:地域・家庭との連携
学校保健組織活動は、家庭・地域と連携して行うことが必要である。
それは、次のような理由による。
- 子どもは学校だけでなく、家庭・地域を生活の基盤としている。
- 学校保健の問題の発見は、家庭や地域との関わりの中で、実践的に行う必要がある。
- 健康や環境の問題については、元々地域全体で取り組むことが重要である。
具体的な連携の課題としては、従来から環境美化、交通安全などがあったが、
近年は、これに加えて、子どもの犯罪被害防止、
地震災害への対応なども大きな問題となっている。
さらに、近年、日本においても自治体による学校敷地内禁煙が全国に広がってきたが、
学校敷地内禁煙は、禁煙・施設禁煙化の運動を家庭・地域に広げるきっかけとなる。
また、学校敷地内禁煙は、学校における健康教育のさらなる推進のきっかけともなるが、
このことによって、学校が地域の健康作りの拠点となる基礎が得られるであろう。
上記のカテゴリー分類項目のうち、今年度事業成果は1)カリキュラム開
発
2)性・エイズ教育
3)学校安全教育
4)学校給食・栄養指導
5)体力づくり
6)生活習慣の改善
7)学校環境衛生
8)健康診断であった。これらの事業成果について、ワークショップ・データバンク登録者を中心とした識者対象のインタビュー調査より得られた知見・国外調
査による今後の課題といった3つの観点からまとめる。
1)カリキュラム開発(資料:
タイにおける学校保健教育カリ
キュラムとAIDS教育の構成に関す
る研究 笠井・大澤,1999)
ワークショップ
2)性・エイズ教育
3)学校安全教育
4)学校給食・栄養指導(資料:
Southeastern
Ubonratchathani
Growth Study 2002 Ohsawa et al.,2002)
5)体力づくり(資料:Southeastern
Ubonratchathani
Growth Study 2002 Ohsawa et al.,2002)
6)生活習慣の改善(資料:基本
生活習慣とヘルス・クオリティ・コントロール 大澤,1990)
7)学校環境衛生(資料:タイ国東北部・北部の水
源,供給ならびに水質から見た学校
環境衛生 國土・佐川・猪迫,1999・東北
タイにおける教育環境研究-東北タイ学校飲料水調査より- 大澤・高橋,1989)
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8)健康診断
2-9 国際教育協力・学校保健分野、分野別
の評価と今後の協力に向けて
国際協力にあったってはいずれの国がどの程度の段階あるかということを分野別に評価しておく必要がある。これは学校保健分野にてもあてはまる。これを計
量的に行うことができればすっきりとして分りやすい。保健分野全般にわたる評価はかつて、アジアについては大澤と中川が行っており、おおむね点対称の曲線
を描いて発展途上国から次第に先進国へと移行していくことを明らかにしている。(1980、Asian Med.J.)
また、国際協力事業団の求めに応じて大澤がアセアン各国についての公衆衛生分野の評価を行ったことがある(1981、国際協力事業団、開発途上国のイン
フラストラクチャー技術に関する調査研究報告書)。東南アジア諸国の保健水準を評価するに当って、その統計上の諸問題が少なからず存在している。この点に
ついては特に資料(Study )を用意したので参照していただきたい。
ここでは専ら学校保健という限られた分野について、またさらに、それを細分化した分野別に評価
するということであるが、実際は分野別にはデータが存在せず、情報が乏しいので計量的な評価は現在のところ不可能である。
そこで、今の段階では特定の国について(ここではタイを取り上げる)、我々がデータを持つ範囲で記述するというレベルの評価(?)をすることで責めを免
れたい。
いずれにしても、ちょっと見学してきたレベルでは、心もとなく、また、そんなデータをもとにした援助や協力では、成果をきちんと上げることは出来なかろ
う。というのが著者の見解である。ともあれ、以下に分野別にタイに焦点を絞って評価してみた。今後はラオス、ミャンマーなどについてもきちんとした評価を
してみたい。
参考資料)
Study
on Reliability of Health Statistics in Southeast Asian
Countries(Ohsawa,S.)
(1)保健教育
この分野はこの報告書の笠井のレビューで明らかになっているように、タイにあってはかなり目まぐるしく制度的な変更があるためにこれをレビューするだけ
でも大変である。昨年から指導要領が大改訂され、まったく過去のデータが反故になってしまった。
教育行政制度自体も大変革時代にはいり、タクシン政権下で、今後どのように進行していくのか分からない。県教育長でさえ、どうなるのかはっきりはしてい
ないと言う。全国に12あった教育管区という制度自体が消失してしまったくらいである。
今は実験段階といってもよかろう。一体にタイをはじめとしてアジアの国国では政権の交代、担当者の交代とともに、大幅な教育制度、政策の変更がありうる
ので常に注意深く、情報を分析しておく必要がある。
また、行政のトップは政治的に動いていることが多いので、トップとだけ関係を持っていても協力の成果を正しく見届けられないし、また成果も上がらない。
もちろんトップとはよい関係を持つべきであるが。
本当に現場で協力していく場合には、現場との密接な関係を最重要視すべきであろう。
保健教育の場合も現実に教壇に立つ教師に対して我々が信頼を勝ち得、協力してもらえる関係の構築をすべきであろう。
今、保健教育は大きな曲がり角に来ている、エイズ、薬物、事故、肥満などの成人病のリスクファクター、感染症と寄生虫症、非行、などおおきな問題があり
これ
を正しく教育するための正課の授業と随時行われる保健指導が非常に重要なものとなっている。先に大澤が指摘するごとく、エイズ教育に
あっては、保健省が行ってきた医療の側からの戦略はまったく実を結ばなかった。これに対して、正課における保健授業を中心としたエイズ教育は大きな功績を
挙げた。このことは保健教育にとって大きなことである。私たちは保健教育を重要な疾患、健康問題、に対してもっと積極的に展開することで上に挙げたような
課題に迫ってゆけると感じている。また、このことはひとりタイにとどまらず、他の国でも同様であろう。
以下タイにおける保健教育の評価であるが、これらの批判は広くアジアの他の地域に当てはまりそうである。
@
まずタイ国の保健教育指導要領であるが、実際には策定された保健教育単元つまりわが国における学習指導要領の相当する模範的なカリキュラム〔学習指導要領
と呼んでおく〕はそれぞれの学校の裁量に依存して非常に融通に富んだ弾力的な運用がなされている。
A
保健教育を行う人、場所、方法、項目、そして学年のいずれもが学校の規模や設置者、地域によって大きく異なっている。タイの学校保健教育はいわば状況対応
型の学校保健教育であり、その意味からもタイ国の学校健康診断制度に良く似ている。
B タイの保健教育の特徴と問題点
柔軟で自由裁量にまかされた教育制度であるから、義務教育制がとられているとはいえ、現実には就学年齢や就学期間に関する例外も多々認められる。今でも小
学校に15歳の少年が在学していたりする。かつて人類学者のエンブリーが指摘したように、タイ国民は自由度の高い緩やかな制度を好む傾向があり、また現実
に山岳地や農村部などでは厳格な教育制度では対処しきれないのである。 現状に応じた多様な方法がとられる。しかしながら、このような例外を認める規定が
あることが、一方で授業欠席や中途退学を黙認している状況を生み出しているとも云われる。したがって、性教育やエイズ教育についても大きな自由度がある。
C一元化されない教育行政
これまでタイの教育行政は、長期にわたって組織が多元的で複雑に入り組み、統一性を欠いた状態で遂行されてきた経緯があり、その歴史的背景の影響を受けて
今も教育
行政組織は多岐にわたっている。学校の所管が一元化されていないために、教育自体を内務省、文部省、その他の官庁等が相互に連絡調整して推進せざるを得な
かった。
D子どもの発達段階への充分な配慮が乏しい教育内容と方法
現在、政府や地方官庁はあらゆる手段に訴えてエイズ教育を行っている。その一つとして、各省はポスター、チラシ、テキスト(パンフレット)、ステッカー、
ビデオなどを作成配布してきた。しかしその教育方法上の工夫や的確性には少なからず問題がある。パンフレットを一例に挙げても、情報の過多、対象者の不明
瞭、年齢や学年に則した配慮がなされていない等の問題が残るものも少なくない。また山地民などではタイ語を読めない成人も少なくないことが大きな問題であ
る。
E理論的理解に弱い児童・生徒の保健知識
我々の調査地では、保健所の職員は、あくまでも予防実践法を重視したエイズ教育を行っている。一方教師の専門的知識は一般に乏しく、理解不充分な状態なま
まで教育を行っている場合が多い。従って、例えば児童・生徒の保健知識も理論的理解が弱く、確実な知識を基盤においた予防行動となっていない状態が生じて
い
る。
F実際にはカリキュラムに則して行なわれていない教育
北タイの山岳部の場合、中学校が不足しているために様々な地域、遠隔地からも多様な生徒が入学する。特に通学が困難な山岳地などでは、少数民族は寄宿生活
を
するなどして中学進学を実現する例もある。サムン郡のS中高等学校では、生徒の約43%が寄宿舎や借家での生活を行っている。エイズが村全体に広がりつつ
ある山岳地区では、教育に課せられた役割が非常に大きいが、これらの地区では、村の伝統行事、両親の仕事の手伝い、年少者の世話などで、学校自体の休校や
児童の欠席、退学等の問題もしばしば起こり、授業がカリキュラムに則して実際には行なわれていないことが多く、またそうならざるを得ない現実がある。それ
がひいては生徒の基礎学力に大きく影響している。
G能力への対応不十分な教育環境
学習機会の拡大が進学の最大の目的であるので、生徒に学習意欲さえあれば中学校は入学を許可している。ところが教員数や教室数等に限界があるために、生徒
の数や意欲そして能力に応じた教育を行う余裕が学校に充分にはない。そのために、学年の段階と生徒の学力水準が対応していない状況も生じている。実際、筆
者らの性・エイズに関する知識調査でも日和見感染や二次感染の知識に関しては、高校3年生の得点の平均値が中学1年生のそれより低いというような逆転した
結果も得られている。
Hとくに安全に関する問題は児童生徒の場合重要である。どの国でも児童生徒にあっては事故死、障害などが統計上優位を占めている。ところが安全教育指導
はきわめて貧弱であって、教材をはじめとして教育方法が立ち遅れている。
以上今年度の研究成果としては、エイズ、薬物、事故、肥満と成人病のリスクファクター、感染症と寄生虫症、非行、などの問題に対する教材の開発提供がさし
あったって必要ではないかということである。保健教材の開発は制度が変わっても有効であり、こうした協力は他のアジア諸国でも汎用性をもつだろう。
(2)保健指導
この分野は保健教育と不可分の関係にあり並列させて協力事業を展開することが望ましい。保健指導は正課としてでなく課外活動や個別指導という形で
行われることが多い。タイでも同様であるが、とくに今は薬物乱用問題で集中的に保健指導が行われている。ロンリエンシーカオ(白い学校)運動である。これ
はポルノグラフィー、タバコ、薬物を学校から駆逐することを狙っている。やりかたは学校によってまちまちであり、地域によっても違いが大きいが、徹底して
いる学校では、抜き打ちで身体検査、尿検査をおこない、直ちに検査結果を出し強力に指導する。常習者は薬物治療センターに送る。タイでは小学生でも薬物を
使う場合があり、事態はかなり深刻である。現政権は協力に取締りをおこなっているので、効果は出ていると聞くが既に薬物経験者に対する保健指導も必要に
なっている。
保健指導では生活指導が非常に重要である。運動の不足、
食事のとり方、睡眠をはじめとしてこれを自己管理できるように指導することはタイに限らず保健指導のおおきな課題である。
HQC(ヘルス・コーリティー・コントロール)という技法を我々は考案し既に日本でおおきな成果を挙げている。これに関する論文、報告も出ているが、こ
の方法の特徴は誰でも、どこでも、手軽に実施でき、お金もかからない。というところにある。我々は、2003年12月にタイ国ウボン県において、11校の
校長、保健担当者と会い、このことを説明したところ、是非この問題で一定期間実験的に取り組んでみたい、という学校があった。
茨城県勝田市ではかってHQCをとりあげていくつかの保健問題を解決しており、これは日本でも論文化している。HQCは多くの保健問題に有効なので今後
タイで上記の問題に対して適用し、うまくいけばこれを一つのモデルとして、アジア各地で試行してもよい。
この技法は費用がかからないのでどんなところでも展開できるという強みがある。今後はモデル的にどの地区のどの学校で、どんなプログラムを持ってHQCを
はじめとする保健指導の具体的なプロジェクトをするべきか検討する。
(3)保健管理
保健管理については環境衛生管理と健康診断について触れる。
1)環境衛生については、本報告書の国土、佐川のところで述べているように、タイをはじめとした国々では大きな問題を抱えている。まず、熱帯・亜熱帯気候
に由来する生態系ゆえの健康問題が基礎に存在する。
著者らが行った学校環境衛生試験では、(1989、大澤、東北タイにおける教育環境研究)ほとんどのミネラルの項目でWHOの基準値を超えていた。ま
た、大腸菌についてもすべての学校、すべての検体で陽性であった。つまり、日本であればすべての飲料水は使用禁止にあたる。という結果であった。
水は環境衛生の中でも健康状態に直結する問題であるか、地域、国を問わずいずれの学校でも最低限度の水質検査をすべきである。しかる後に問題を以下に解
決するかを考える。簡易ポンプ、井戸、消毒や滅菌、食器の衛生管理、給食施設の管理、など急務である。
また、便所に関しても非常に劣悪であるから、正しいトイレの使い方ということを初めとして、清掃、便所の水の供給方法、殺菌、などやるべきことは多い。
騒音は都市部では問題になってきている。防音設備はすべての学校でないので、安価な防音方法を探さなくてはならない。これは、非常に難しい問題である。
空気よごれについても学校だけでは対応できない問題であるが、差し当たり教室における空気の管理はできる。まず、不快な刺激、臭気、の感知からはじまっ
て、教室の換気、必要に応じた検査である。
教室の教具の適正な管理、校舎内外の安全と管理も重要である。
しかし、検査器具、知識、技能がないので所定の器具を持ち込んだ講習会が必要である。わが国には幸いこうした基準が整備されているのでこれを翻訳し適宜
現地にあわせて利用することが手始めに必要である。しかる後に、簡単な環境検査と管理のマニュアルを作成し、講習会を開きながら次第に普及してゆくという
ことであろう。今後実際にどのような検査、管理が必要であるか、どのような協力体制がより適切かを検討してゆくべきである。
2)健康診断と健康管理
まずタイ国において行われている健康診断の方法と項目を明らかにし、ついで北タイのチェンマイ県を例にとって、都市大規模校、都市中規模校、都市小規模
校、郡部大規模校、郡部小規模校、そして福祉学校のうちから代表的な学校を選び、健康診断の実態を調査し評価した。実際には策定された健康診断項目は学校
の裁量に依存して非常に融通に富んだ弾力的な運用がなされている。健康診断を行う人、金、場所、方法、項目、データの扱い方のいずれもが学校によって大き
く異なっている。いはば、状況対応型の健診システムであり、また受益者負担を原則とするシステムもみられた。一律性、恒常性を旨とするわが国の健康診断シ
ステムとは制度的に大きく異なるものであった。主な所見を列挙する。
学校保健制度特に健康診断の意義は子供の健康と、発達保証の上から大きいものがあり、明治期以来その役割を十分果たしてきた。しかし時代の趨勢に伴って
子供の健康状態にも徐々に変化が現れており、これに応じて健康診断のありかたやその項目にも再検討すべき諸点も指摘されている。同様に、いずれの国にあっ
ても時間とともに健康管理の対象は変容しているので、常に現状をよく観察し、実態を把握して協力すべきである。
ここではタイに焦点を当てて健康診断制度の現状を報告するが、タイは欧米に比較して多くの健康診断項目が日本のそれに類似している。欧米の健康診断が直
接学習活動に関連する項目に限定されているのに対して、タイは細かな項目にまで配慮を払い、これを評価しようとしている。その点では中国と並んで学校保健
制度下における健康診断を比較する上で興味深い。しかし、実態としての健康診断は建前と大きく異なっている。
典型的な規模別、地域別の調査対象校の健康診断:
ここでは、学校によって大きくことなる健康診断の実情とその評価をするにあたって、都市大規模、都市中規模,都市小規模、郡部大規模、郡部小規模、福祉
学校の各層からその代表としうる学校を選んでその実態を評価する。
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都市大規模校の場合では、人、モノ、金、いずれも潤沢にあるので充実した健診を行い、表1の項目を医師が有料で担当。独自の健康診断統計を発行して保健指
導や教育にも活用している。看護婦が常駐する他に職員を一人雇用して補助作業をしている。受益者負担の学校保健サービスをしている。傷害保険も有料。発育
評価と肥満評価は個別に健康診断データをパソコン処理して判定している。標準値は保健省標準値を用いている。
A
都市中規模校では,看護婦はおらず、トレーニングを受けた一般教師が担当する。健康診断は地区保健所職員が訪問して行う。急患や健康診断の異常者はナコン
ピン病院に任せている。歯科も同様である。傷害保険、薬代は有料。発育評価と肥満評価は個別に行い標準値はマヒドン大学のものを使っている。眼科の健診を
眼鏡会社のサービスにまかせている。眼鏡を作る場合はこの会社に任せる。歯科検診は保健所から歯科治療士が来て行う。
B
都市小規模校では、看護婦はおらず、トレーニングを受けた一般教師が担当する。健康診断は地区保健所職員が訪問して行う。急患や健康診断の異常者はチェン
マイ市内の病院や郡の病院に任せている。歯科も同様である。傷害保険には入っていない、薬代は無料で政府からの配給を受けている。発育評価と肥満評価の標
準値は保健省のものを使っている。眼科の健診はナコンパトムのボランティア団体に任せている。眼鏡を作る場合は無料である。歯科検診は保健所から歯科治療
士が来て行う。
C
郡部大規校では、看護婦はおらず、一般教師と生徒の2人が担当する。健康診断は保健所職員が訪問して行う。急患や健康診断の異常者は村の保健所に任せてい
る。歯科検診は保健所から歯科治療士が来て行い、治療は保健所内で毎週金曜日に行っている。
傷害保険には入っていない、薬代は無料で政府からの配給を受けている。発育評価と肥満評価は標準値は保健省のものを使っている。眼鏡を作る場合は無料であ
る。
D 郡部小規模校では、4)とほぼ同様だが、病院から遠く保健所に依存している。
E
福祉学校では、看護婦が一人常駐する。保健室は独立した建物がある。健康診断は地区保健所職員が訪問して行う。急患や健康診断の異常者は公立の大病院に任
せている。歯科も同様である。傷害保険、薬代は無料。発育評価と肥満評価は個別に行い標準値は保健省のものを使っている。眼科の健診を眼鏡会社のサービス
にまかせている。眼鏡を作る場合はこの会社に任せる。歯科検診は保健所から歯科治療士が来て行う。山地民が多く寮生活をしている。簡単な保健統計を作成
し、校長に届け出ている。
以上の結論として、
学校健康診断は、学校の裁量に依存して非常に融通に富んだ弾力的な運用がなされている。健康診断を行う人、金、場所、方法、項目、データの扱い方のいずれ
もが学校によって大きく異なり、状況対応的であり、また受益者負担を原則とするシステムもみられ、一律性、恒常性を旨とするわが国の健康診断システムとは
制度的に大きく異なっていた。したがって、健康診断に関する協力は各学校の状況に対応したやり方しか考えられない。これは健康診断の性質上どうしても地域
の医療資源に依存しているので、教育協力としてはひとまず評価だけをして、実際の協力事業としは今後慎重に対応すべきであろう。
(4)保健組織活動
これは学校保健問題に取り組み解決する上で極めて重要な点である。協力事業自体が一つの組織活動である。
日本では一般に病院や医院、保健所がありPTAをはじめとして、地域社会、教職員、クラブ活動、学級、学校などにそれぞれの保健組織活動を可能とする単位
がある。
この保健組織活動は、地域によってかなりの違いがあり、地域の特性がある。タイにはタイの、インドネシアにはインドネシアの保健組織活動が考えられてよ
い。
タイの村では都市を除いてまず医療機関というものがなく、代わってアナマイ(保健所に近い)がある。これは簡単な治療までを行える施設である。村には薬
を村で管理す
る委員会があり、ビレッジヘルスボランティアという保健員もいる。彼らは簡単なトレーニングは受けている。地域で影響力のある組織は内務省の出張所(オー
ポートー)であるが、これも保健組織活動を有効に展開する上では活用したい。ここには各地区の代表が集まり、道路や道、灌漑、などいろんな公共事業の相談
もしている。もちろん複雑な民族間の問題もあるので、そうした配慮も必要である。いずれにしても、地域の政情や、民族問題などと
保健問題が無関係ではないので保健組織活動を展開する上では、十分に地域特性を調査し、人と人、組織と組織、地区と地区の関係を学校保健の中でうまく調整
してゆく必要がある。そして、忘れたてならないのが寺の存在である。寺の組織、アナマイ、オーポートー、薬委員会、を学校保健がうまく調整できれば大きな
効果を期待できる。また、タイの場合では、NGOがたくさんコミュニティー活動に参加しているからこれらの団体との協力調整も不可欠である。
村のオピニオンリーダーは村長、校長先生、などである。地域、地区に応じてこれらの組織、人を保健問題の解決に向かわせ、協力してもらうことが協力事業
の鍵を握っているといえよう。我々のプロジェクトはまず2つのやり方を考えている。ひとつは現在NGOの独自のボランティア方法に学校保健をジョイントし
て行う協力方式、もうひとつは日本が既に行ってきた教育行政の側から学校保健のある領域に関する協力指定を行って、これを我々日本人が介入して指導する方
式である。
(5)保健統計・評価
統計情報はこれからの学校保健の国際協力をする上でまず意識しておくべき点である。これから行う予定の事業については、まず、ベースラインにおける、評
価があり、しかる後に実際の協力事業があり、そしてその成果がベースラインと比較してどう変わったかと評価されるべきである。
評価すべき諸点は学校保健領域のすべてにわたる。むろん、評価しにくい点もあるが、それなりに妥当性と客観性のある方法で行われるべきである。
統計については官庁統計がそれなりに整備されているので、それらを有効に活用し、足りないものは実差をしてゆくということである。
幸いわれわれのグループは1983年より東南アジアで調査活動をつづけてきたので豊富なデータを保有しているが、これからも、協力事業に関連する評価指標
の開発、応用をしてゆくつもりである。
(資料:
東南アジア諸国との学校保健学術協力 大
澤,1988)
2-10 協力モジュールの作成に向けて
現在の東南アジアの保健状況からみた、学校保健の対策について
国際教育協力のモジュールのついての考え方。
現在の東南アジア諸国の保健状況は複雑である。明らかなように、これらの国々では日本が経験してきたような、経過をこの10年間
で
複合的に複雑にした形で経験しつつある。要約すると、
- エイズ,薬物乱用などをはじめとして保健教育が果たす役割は大きい。教材教具等の
開発と提供は協力事業として有効な選択肢であろう。依然として寄生虫病や感染症がみられる。つまり、日本がかつて経験した衛生教育
(健康教育ではない)のやり方がまだ役立つ可能性が大きい。つまり、清
潔習慣の確立、駆虫剤の利用、病気についての知識教育などである。
- 慢性の疾患と生活習慣に問題のある疾患が優位になってきており、生活習慣の改善が大きな課題となっている。特に、肥満対策が栄養不良の問題と
同時に必
要になるという二重構造が存在する。この点は日本がこの20年間に培ってきた知識、技術が役立つはずである。とくに、HQCとなずける生活習慣の管理方法
は手軽ですぐにでも効果を上げるはずである。
- 事故が非常に多く、安全教育指導がきわめて重要な課題になっている。この点に関しても日本が戦後培ってきた安全教育指導のノウハウが役立つは
ずであ
る。
環境衛生における立ち遅れの原因が低い環境衛生意識、モラルにもある。これは、かかって健康教育の仕事である。戦後の混乱期に日本でとられた様々な環境
衛
生対策が役立つだろう。特に、学校環境衛生検査と管理の方法は東南アジアでは著しく遅れており、直ぐにでも協力しうる点である。
以上が今年度検討してきたあらましである。
今後の方針としては、上にあげた1から4の諸点について、まずは、我々グループが長年フィールド調査を続けてきたタイ東北部ウボン県の農村部と北部チェ
ン
マ
イ県の山岳地区で現実にどのように事業を展開し、効果を有らしめるかという点に絞って検討してみるつもりである。かくして、協力のモジュールを形成し、こ
れを様々に修正して他の地域、たとえばタイの他の地域や隣国のラオス、ミャンマーなどで展開して行こうと考えている。